An intermediate support organization to develop human resources for art management professionals of Performing Arts, and to enhance their working environment.
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「小池博史ブリッジプロジェクト」は2012年5月、30年の活動に終止符を打った舞台芸術カンパニー、パパ・タラフマラの演出家小池博史さんが立ち上げたアートプロジェクトです。あらゆる境界を横断した舞台芸術作品の創作、映像・写真・インスタレーション・文章などあらゆるメディアを活用した多角的な発信を行ない、世界との架け橋を創り出すことを目的として活動されています。 また、イベン ト・講演会・ワークショップ・教育プログラムの実施など、“からだを使って考える”ことの出来る人材の育成もてがけています。今回の制作スタッフ(海外担当)募集にあたって、小池博史ブリッジプロジェクト代表の小池博史さん、制作の山内祥子さんにインタビューしました。
(C) KOK MAN
A11990年に設立して、もともとは「パパ・タラフマラ」などいくつかの舞台芸術の公演制作を行ってきた会社です。現在は「小池博史ブリッジプロジェクト」の制作、そして文化庁と一緒に行っている人材育成事業「からだをとりもどすスキルアッププログラム」(舞台芸術の学校/P.A.I.)の運営が大きなところです。(小池)
業務としては、貸しスタジオの運営、たまに外部の企画の運営やキャスティング、店舗の広報・ブランディングなども行っています。(山内)
2003年 SHIP IN A VIEW
A2主には、小池が手掛ける海外共同製作や海外公演の企画立案、運営、ツアーマネージャーなど、全てを網羅的に進行していただきます。また、サイの社員になっていただくので、海外の公演だけでなく、サイが行っている他の様々な事業も一緒にやっていただきたいと思っています。国内の公演もサイのメンバーの一員として、広報、票券、当日の運営なども協働して行うことになります。(山内)
A3今はアルバイトも入れてメインで4人スタッフがいます。公演直前などはもう少し増えますね。事務所のある中野という街はすごく面白くて、飲み屋のお客さんが学校の卒業公演や本公演を見に来てくれたりもするんです。(山内)
これは面白いのですが、スタッフに限らず関係者みんな、めちゃくちゃ「いい人」が多いんですよ。そういう人たちが集まりやすい雰囲気がここにはあるんじゃないかと思います。(小池)
A4まず現場で相当揉まれますからね。新しい作品を海外の人達と一緒に創るというのは、本当に大変なんですよ。昨年だと、インド人、タイ人、インドネシア人、カンボジア人、マレーシア人、日本人という全員が文化背景がバラバラな中で作品を創りました。現在取り組んでいる『マハーバーラタ』だけでなく、毎年コラボレーションをやっているんですよ。こういう場所で働くと「自分に何が必要か」が自分でもはっきりと分かると思います。また、スキルとは違いますが、いろいろな国に行ってその国を牽引しているトップの人達と一緒に仕事ができるというのも大きなメリットだと思います。こういった場所で得られる人脈はその人にとっても、うまく使えば大きな財産だと思います。(小池)
サイはアーティストを抱えている団体なので、自分たちで考えて、企画を立てて、それを持ち込むということをしなくてはいけません。オファーがあって行う仕事もありますが、基本的には自分たちで動かしてゆきます。それは大変なところでもありますが、面白いところです。全てのプロセスを体験することができるので、ここで得られる知識はどこに行っても通用する確かなものだと思います。(山内)
(C) KOK MAN
(C) KOK MAN
A5もともと私は美術大学の彫刻学科で作品を創る側でした。ただ、自分が私財を投じて作れるものには限りがあって、もっと大きなものをつくりたくてここに入りました。今かなり大きな規模のプロジェクトに中心的な立場で関われています。もちろん大変ですが、そこにやりがいを感じています。また、いろいろな人と会えるというのも私にとって財産で、堤清二さんは小池と一緒に動いているからこそ出会えた偉人です。他にも、現在活躍している美術家、衣装家、パフォーマー、プロデューサーの方々にお会いする機会があります。自分がその方々に認識してもらえるかはまた次の段階ですけど、まず会いに行けるということがすごいですよね。また、地方の劇場の方々と一緒に企画を考えたり、営業で訪問した地域の方に、その地域の問題を直接お伺いする機会があったり、自分の耳で聞いて感じることができるというのは得難いことだと思っています。(山内)
A6ほとんど全部大変ですけど(笑)、組織が小さいので一人ひとりが負う仕事の範囲や責任が大きいということはあります。ただ小さいチームだからこそ、みんなでミッションを達成した時の喜びはありますね。あと小池は人間の形をしていますが、実は宇宙人じゃないかと思っているんですけど、常に10年先、100年先を見ているんです。制作者は近い将来のことを見がちですけど、小池のその未来のビジョンを解釈するのに想像力が必要ですね。(山内)
A7今は『マハーバーラタ』 が目前です。日本でクリエーションをして、初演がアジアツアー(タイ、中国、フィリピン)で、その後に日本(12/8~16@吉祥寺シアター)で公演を行います。その後は『注文の多い料理店』の国内ツアーがあり、その後には『風の又三郎』と『注文の多い料理店』のブラジル・アメリカツアーが控えています。また、人材育成事業(「舞台芸術の学校(P.A.I.)」)の公演が3月にあります。来年度の予定としては、『マハーバーラタ第3章』のインドネシアとの共同製作、『風の又三郎』の国内ツアー、2017年1月には国内での新作公演も予定しています。毎年、国内と海外のツアーが両輪で動いています。あ、あと実は映画も動いています。あと本も。映画は台本と監督を小池がやっています。小池を追いかけたドキュメンタリーも2年くらい前から実はずっと動いているんです。(山内)
(C) 小池博史
A8もともと「小池博史ブリッジプロジェクト」を始めた時点で、クリエイティビティを確認しながら、クリエーションとパブリシティとエデュケーションの3つをウイングにしてやっていくということを決めてやって来ました。これは日本ではなかなか大変ですけど、やっぱりこれが重要なことだと思っているんです。(小池)
A9英語が話せることはもちろんですが、コミュニケーションにあたって壁の無い方がいいですね。構成力・構想力もあるといいですね。来年インドネシアで大規模なプロジェクトを行うので、まとめる力も必要となります。クリエイティビティを持っている方には、すごく楽しいんじゃないでしょうか。アイデアを活かす機会もきっとあるでしょう。何かを作る過程では、やはりそこでいろいろな軋轢が生まれます。でもそれを越えたところに作品はあるので、超えていくことに楽しさを感じることができる方には、面白い現場なのではないかと思います。私自身、大変なのになぜ海外とやるかというと、自分たちが生きている世界の狭さを知る、今持っているのとは別の視点を知ることが必要だと思っているからです。これが、これからの社会や世界を知るうえで非常に有意義ではなかと思っています。自分の範囲や境界線を越えていくことに興味がある人にはやりがいのある現場だと思います。舞台芸術の経験がなくても、自分の経験値をもとにしながら拡大していける能力があれば、舞台芸術の経験はそんなに関係ないと思いますよ。(小池)
ものづくりの根幹は一緒だと思います。舞台芸術の経験がなければ、もちろん制作として一通りできるようになるまでは時間はかかると思いますが、クリエイティビティがあれば、いつかできるようになると思います。私はチームで働くことが好きなので、このチームのメンバーになってくれる方を求めています。ここで働き始めて8年目なので、今自分が知っていることを伝えながら、一緒に問題解決していけたらいいなと思っています。(山内)