An intermediate support organization to develop human resources for art management professionals of Performing Arts, and to enhance their working environment.
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毎年秋に京都市内の劇場を中心に世界各地から先鋭的な舞台芸術を紹介してきた「KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭」。2016年3月には、同年1月にリニューアルオープンする「ロームシアター京都(京都会館)」にメイン会場を移し、第6回目となるフェスティバルを開催します。このフェスティバルの開催にあたって、運営を支える新規スタッフを募集中です。現在引っ越し途中のKYOTO EXPERIMENT事務局で、プログラム・ディレクターの橋本裕介さん、広報の多胡真佐子さんにお話を伺いました。
A12010年に始まった京都で初めての国際的な舞台芸術祭です。京都では演劇祭と名の付くフェスティバルは過去にも開催されていましたが、国内と海外の演目を一堂に紹介した舞台芸術祭はKYOTO EXPERIMENTが初めてです。主な会場は京都芸術センター、京都芸術劇場 春秋座(京都造形芸術大学内)、そして新しくできるロームシアター京都ですが、プロジェクトによっては京都市役所前広場、昨年の場合は西京極スタジアムなど特別な場所を使ったりもします。会場が様々に展開しているので、仕事をする場所もこのオフィスだけではありません。
名前に現れているように、このフェスティバルは「京都の実験」の場です。新しい取り組み、新しい創造への意欲に溢れた作品を紹介すると同時に、それらの作品を「この場所」、「この場に集う人たち」に向けて上演することで京都を試すような、京都を実験したいという気持ちを込めています。また、京都は伝統的な街として知られていますが、それだけではない側面もあります。大学も多く、文化的な活動をしている若者もたくさんいますし、先端的な技術でプロダクトを世に送り出している、京セラ、任天堂、ロームなどといった企業もあります。伝統的なことだけではなく、新しいことに取り組もうとする土壌も京都にはしっかりあって、そういう文化を紹介したいという気持ちもこの名前に込めています。
photo: Takuya Matsumi
A2特定の作品に携わるというよりは、フェスティバル全体の調整を行うのが「運営スタッフ」です。たとえば、海外や京都以外の国内の地域からやってくるアーティストの交通や宿泊手配など、上演に集中出来るよう滞在中に快適に過ごせるための準備を行います。また、フェスティバルに関わるスタッフは全体では大人数のチームで動くことになるので、それらのスタッフ間の調整などを行います。また職員だけではなく、フェスティバルにはたくさんのボランティア(サポートスタッフ)も若い人たちを中心に関わってくれるので、その募集告知から実際の仕事の取りまとめなども行ってもらいます。
photo: Takuya Matsumi
A3第一に、いろんな地域からいろんなジャンルのアーティストが訪れますので、忍耐強さと寛容さが身につきますね(笑)。また、海外のフェスティバルや劇場で出会ったアーティストからもらった資料や、フェスティバル宛に送られてきた資料など、世界中の舞台芸術に関わる情報がここには集まってきます。本番が近くなると忙しくてそれどころではないですが、準備が落ち着いている期間にはそういったものに目を通すことができ、国内外の演劇やダンスの情報を得られるというのは大きいのではないでしょうか。
また、フェスティバル自体が単独の組織ではなく、実行委員会という形式で運営されています。実行委員会には、それを構成するいくつもの組織があり、それぞれの組織にはそれぞれの仕事の流儀があります。それぞれ違うやり方を持っている人たちが集まって共同でプロジェクトをやろうとしているので、当然議論も起こります。その都度、このフェスティバルではどういったやり方を行うのがベターかを議論し、決定していくわけですが、このプロセスに立ち会うことから得られるものも大きいと思います。仕事には違った考え方や進め方があるのだということ、それぞれのメリット・デメリットを吸収できる機会になると思います。
photo: Takuya Matsumi
A4やはり継続性をどのように担保していくかというのは常に課題ですね。この先が永久に保障されているわけではないので、毎回先のことを考え続けなくてはいけません。逆に、常に緊張感が持てるという意味ではいいことでもあるかもしれません。フェスティバルの立ち上げから5年経ち、今いるスタッフの多くは発足当初からのスタッフです。一方、フェスティバルのような組織は開かれていて、流動性があることが重要だと思うので、人が固定化してしまうとことも良くないと思っていて、これから少しずつ新しいスタッフが入って、人が入れ替わっていくことも必要だと思っています(橋本)
現場のスタッフは、1年弱から半年の短期決戦でやるべきことをやることになります。昨年のやり方を続けた方がいいのか、新しくした方がいいのかを判断しながら、現場では起こる色々な問題に対処しつつ動いていく、これは大変ですけどやりがいもありますね。その場の判断力が鍛えられると思います。(多胡)
A5現在、事務局スタッフは6人います。これからインターンが増えて、フェスティバル直前には全部で10人くらいになります。これまで京都芸術センターの中に事務局があったのですが、今新しい場所に引っ越している最中です。これはフェスティバル自体が次のステップに入ったということだと思っています。ちなみに事務局スタッフには京都出身者は1人もおらず、関西出身は2名いますが、それ以外は北海道、神奈川、岡山、香川出身です。京都に縁もゆかりもなくても大丈夫です!
A6“格好よさ”について考えることができる人がいいですね。その“格好よさ”というのは、身なりがおしゃれとか、流行を知っているとか、昔気質であるという意味ではないです。物事を進めようとするときに、その前提を一度疑ってみて、自分で判断をし、仕事を進めていこうとする、自分なりの尺度を持とうとしている姿勢のことです。そんな姿勢を持った方と出会えるといいなと思います。それは責任感があるということとも少し違うと思います。チームでやっているので全てを一人で背負い込む必要はありません。これは仕事に限ったことではありませんが、物事は細部にこそ本質が宿るのだと思います。普段意識せずに流してしまいそうなことでも、一旦そのことついて考えてみることができるというのが重要だと思います。それには、キャリアとか年齢はそれほど関係ないのではないかと思いますね。また、仕事の仕方が違う人たちが集まっているこういった組織で、それを面倒臭がらず、話せる人がいいと思います。(橋本)
私自身も、変化を恐れず、柔軟性があり、粘り強くありたいと思っているので、そういう方とぜひ一緒に働けたらと思います。フェスティバルの仕事は短期決戦ですが、時間がない中でも、自分がいいと思うものに向けてどれだけ粘れるかを考えられる人と仕事ができたらいいですね。実験というフェスティバルの名前の通り、プログラム自体の実験性だけではなく、仕事の内容も毎回見直しながらやっています。同じことをただ繰り返し、漫然と仕事をするのではなく、常に更新しながら仕事をしていきたいという方には、この場所は合うんじゃないかと思います。(多胡)
A7次回のフェスティバルはロームシアター京都のオープニング事業として行います。特にロームシアター京都のノースホール(最大約200席)を本格的な上演に使うのはフェスティバルが最初になると思います。そこに限らず新しい劇場なので、どういう風に使っていけるのか、可能性が開かれています。それをチームの一員となって、劇場のスタッフと一緒に創っていけるというのは今年の醍醐味ですね。
プログラムでいうと、2016年は春と秋でフェスティバルが2回あるので、対になるようなプログラムにしたいと思っています。春は身体性に特化し、ダンスのプログラムが多く、秋は演劇のプログラムを増やそうと思っています。これまで5回フェスティバルを行って次回が6回目なので、ここからさらに次の5回分の発展のイメージを思い描いています。そのスターティングポイントになるのが次のフェスティバルです。現代の舞台芸術の源流をしっかり押さえながら、新しい表現について考えていきたいと思っていて、次回は麿赤兒さん、松本雄吉さん、トリシャ・ブラウン・ダンスカンパニーなど、いわゆるベテランの方々にも参加していただきます。
大駱駝艦『ムシノホシ』 2014 photo: Hiroyuki Kawashima
A8事務所にエスプレッソマシーンが導入されます!(笑)あと、基本はフェスティバルですから、やっぱり独特の高揚感は味わえると思います。舞台に詳しい必要はありません。今事務所にいるスタッフも、フェスティバルのスタッフとは違う顔を持っていて、別のジャンルの仕事をしている人もいます。そのことによって人脈や知識が拡がるので、そういった方も歓迎します。もちろん自分が関わっているフェスティバルに愛着を持ってほしいとは思いますが、この組織に骨を埋めるとかいうことは考える必要はなく、ここで学んだことを自分の活動にも反映していってほしいと思いますね。また、京都は街の中心部にコンパクトにいろいろ集まっているので、例えば東京みたいに作品を観に行くときにいろんな場所に行く必要がありません。最近京都に移住して仕事をする文化・芸術系の若い人たちも増えているみたいですよ。(橋本)
スタッフが20代~40代と比較的若いので、仕事内容はある程度は決まっていますが、やりたいと思ったことがあれば実現できる環境でもあると思います。それから、京都は自然もあるので、気分転換をしやすい気はしますね。鴨川はいつもいい風が吹いていて気持ちいいんです。(多胡)
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